日本神話関係。 主に日本書紀・古事記・風土記をもとに、日本神話について「事実関係(書いてあること)の整理整頓」する、備忘録的なブログ。 他には「素朴な問いを立てる」ことを重視していきたい。 「謎の解明」はきっと専門家がどっかでやるので、そんなに興味なし。 あとは、たまには「雑感・想像・妄想」織り交ぜて色々とイメージを膨らませたいとも思っている。 ちなみに、最近はアイヌ神話・琉球の神話にも興味がある。 著作権については興味なし。 ここで書いたりアップしたものは、勝手に使用・転載していいです。(使う機会あればの話ですが・・・)
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素戔鳴尊はそんな激怒している日神に対してこう言った。
「私には最初からそんなきたない心はない。
ただ父母は厳しい勅を私にくだしたので、永く根国へ行こうとしているところだ。
その前に姉に相見えたくて、雲霧を踏んで遠くから参ったのだ。
まさか姉が怒っているとは思ってもいなかった。」
このとき天照大神がまた問いて言う。
「ならば、お前が何をもってきよき心であることを証明するのか?」
それに対していわく。
「姉と私とで共に誓約(うけい)をしてみるのはどうか。
誓約として子を生んでみるのだ。
もし女を生んだら、きたなき心ありということ。
もし男を生んだら、清き心ありということだ。」
そこで天照大神は素戔鳴尊の十握剣を取って、打ち折って三つに分けた。
天真名井にふりすすぎて、かりかりと咀んで、吹き棄てて神を生んだ。
・曰田心姫(タコリヒメ)。
・次に湍津姫(タキツヒメ)
・次に市杵嶋姫(イツキシマヒメ)。
その三神は女だった。
素戔鳴尊は、天照大神の髻鬘や腕に纒いてあった八坂瓊の五百箇の御統をとった。
天真名井にふりすすぎて、かりかりと咀んで、吹き棄てて神を生んだ。、
・正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(マサカツアカツカチハヤヒアマノオシホミミの尊)。
・次に天穂日命。〈アマノホヒの命。是は出雲臣や土師連等の祖である。〉
・次に天津彦根命。〈アマツヒコネの命。是は川内直や山代直等の祖である。〉
・次に活津彦根命。(イクツヒコネの命)
・次に熊野櫲樟日命。(クマノノクスビの命)
この五神は男だった。
この時に天照大神は勅して言った
「その物の元々の持ち主を見れば、八坂瓊の五百箇の御統は、私の物である。
よって、五男神は私の子である。」
その子らをとって養育することとした。
また勅してこう言った。
「その十握剣は、素戔鳴尊の物である。
よってその三女神はお前の子である。」
そして素戔鳴尊に授けた。この三女神は、筑紫の胸肩君等の祭る神である。ここにきて、素戔鳴尊がこう言った。
「私は今みことのりを奉ってこれから根国へ行く。そこでその前に高天原へ行って、姉と相見えて、その後は永く退こうと思う。」
「これを許す」と言った。
よって天に昇って詣でた。
この後に伊弉諾尊は神のつとめを既に終えて、霊運当遷(あつしれたまふ)。
そこで幽宮を淡路の洲に構えて。静かに長く隠れた。
またこうも言われている。伊弉諾尊は功を既に立てた。その徳は大である。ここで、天に登って報命した。
その後は日の少宮(わかみや)に留まって住んだ。
素戔鳴尊が天に登る時、海も山も大いに荒れた。これはこの神性の猛々しさがそうさせるのである。
天照大神は、元々その神の荒々しく悪しきことを知っており、更にスサノオがこちらへ向かってくる様子を聞き、驚愕してこう言った。
「わが弟が来るには、何か良からぬ意図があってのことだろう。
たぶん、まさに今この国を奪おうと狙っているのだろう。
父母は既に諸々の子に、各自それぞれの領域を管理するよう、命じたのだ。
なぜ就くべき国を捨てて、あえてこちらを狙うのか。」
そこで以下のとおり戦闘準備を整えた。
・髪を結って髻として、
・裳をひいて袴として、
・八坂瓊の五百箇の御統(ヤサカニのイホツのミスマル)を髻・鬘および腕に巻きつけて、
・背に千箭の靭(チノリのユキ。千本入の矢を入れる道具)と五百箭の靭を負って、
・腕には稜威の高鞆(イツのタカトモ。)を装着して、
・弓筈を振りたてて、
・剣の柄を固く握って、
・堅庭を蹈んで股に陥いて、
・沫雪のごとくに蹴散らして、
・稜威の雄詰(イツのオタケビ)を奮わして、
・稜威の嘖譲(イツのコロヒ)を発して、
・次に海を生む
・次に川を生む・
・次に山を生む。
・次に木の祖の句句廼馳(ククツチ)を生む
・次に草の祖の草野姫(カヤノヒメ)。または野槌(ノツチ)とも言われている。
ここで伊弉諾尊と伊弉冊尊が共に議っていわく。
「私はすでに大八洲国および山川草木を生んだ。天下の主たる者も生もうか。」
①そこで、共に日神を生んだ。オオヒルメノムチという。〈一書にいわく、天照大神。別の一書にいわく、天照オオヒルメの尊。〉
この子は光麗しくて、国中を照らしていた。
故に二神が喜んで言うには
「わが子は多いけど、これほど霊異な児はいない。この国に留めないで、すみやかに天に送り、天上の事を任せよう。」
この時、天地はまだそれほど遠くなかった。そこで天の柱から、天上に送り出した。
②次に月神を生んだ。〈一書にいわく。月弓尊。月夜見尊。月読尊。〉
その光のよく輝くこと、日に次ぐほどだった。
これは日に並べて配すべきということで、月神も天に送った。
③次に蛭児を生んだ。
三歳になってもまだ脚が立たなかった。
よって天磐豫樟船(アマノイハクスブネ)に載せて、風のまにまに放ち棄てた。
④次に素戔鳴尊を生んだ。〈一書にいわく。神素戔鳴尊。速素戔鳴尊。〉
この神は勇猛で残忍なところあり。また、常に哭きわめいていた。それにより国内の人民は、夭折する者が多かった。また、青山を枯山にした。
故に、その父母二神は素戔鳴尊にこう勅した。
「お前は甚だ手のつけられない奴だ。天下の主となるべきではない。遠く根国まで行け。」
こうして放逐した。
(第4段)
伊弉諾尊と伊弉冊尊が、天浮橋の上で言った。
「底下にわが国がないはずがないな」と。
そう言うと天之瓊矛(アマノヌホコ)を持って、指し下ろしてかき探った。
ここに青海原を獲た。
その矛の鋒から滴った海水が、凝って一つの嶋となった。
名をオノゴロ嶋という。
二神はその嶋に降り立って、夫婦の交合して、国土を産もうとした。
すなわちオノゴロ嶋の国中の柱(みはしら)を中心として、男神は左から回り、女神は右から回った。
国柱を巡って、また会ったとき。まず女神が先に口を開いた。
「あな嬉しや。よい男に会えて。」
しかし、男神悦ばず。
「私は男だ。男が先に唱えるべきだ。もう一度まわろう。」
というわけでもう一度巡った。
今度は男神が先に唱えて曰く
「あな嬉しや。よい乙女に会えて。」
因りて女神に問いて言う。
「あなたの身に何の成れるところがあるか。」
「わが身に一つの雌のはじめというところがある。」
男神曰く。
「わが身にまた雄のはじめというところがある。わが身のはじめのところを、あなたの身のはじめのところに、合わせたいと思う。」
というわけで、男女が始めてみとのまぐわいして夫婦となった。
以下の順で産んだ。
・先ず淡路洲を胞(え)とした。神は心に喜ばないところがあった。故って淡路洲と名づけた。
・大日本〈おおやまと〉豊秋津洲。
・伊予二名洲。
・筑紫洲。
・次に双子として億岐洲と佐度洲。
・越洲。
・大洲。
・吉備子洲。
これによって、始めて大八洲国という名がおこった。
また、
・対馬嶋。
・壱岐嶋。
・及び処処の小嶋。
これらについては潮の沫が凝って成ったものである。また、水の沫が凝って成ったとも言われている。