日本神話関係。 主に日本書紀・古事記・風土記をもとに、日本神話について「事実関係(書いてあること)の整理整頓」する、備忘録的なブログ。 他には「素朴な問いを立てる」ことを重視していきたい。 「謎の解明」はきっと専門家がどっかでやるので、そんなに興味なし。 あとは、たまには「雑感・想像・妄想」織り交ぜて色々とイメージを膨らませたいとも思っている。 ちなみに、最近はアイヌ神話・琉球の神話にも興味がある。 著作権については興味なし。 ここで書いたりアップしたものは、勝手に使用・転載していいです。(使う機会あればの話ですが・・・)
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④やがて彦火火出見尊は海神の娘である豊玉姫を娶った。
海宮に留まって住むこと、すでに三年が経った。
そこは安らかで楽しい所とはいえど、なお故郷を懐かしむ心情があった。
そのため、時々大いに嘆いていた。
豊玉姫はこのことを聞いて、父にこう言った。
「天孫はしばしば歎いている。きっと故郷を懐かしがって憂いているんだろう。」
海神は彦火火出見尊を招いて、静かにこう言った。
「天孫がもし帰郷したいと思うのなら、私がそこまで送り届けましょう。」
そして釣鉤を渡して、こう教えた。
「この鉤を兄に返すとき、秘かにこの鉤を貧鉤(マヂチ。)と呼んで、その後に渡しなさい。」(貧しくなれと呪うため)
また、潮満瓊(シホミチノタマ)と潮涸瓊(シホヒノタマ)を授けた。
「潮満瓊を使えば、潮があっという間に満ちる。それで兄を溺れさせなさい。
もし兄が悔いて許しを請うたら、潮涸瓊を使えば、潮はあっという間に引く。そうやって救いなさい。
かくのごとく攻め悩ませば、あなたの兄も自ら従うでしょう。」
そして故郷へ出発するときに、豊玉姫は天孫にこう言った。
「私は妊娠しました。もうすぐ子が産まれます。
私は必ず風濤急峻ではない日に、海浜に行きます。
だから私の為に産室を作って待っててね。」
⑤彦火火出見尊は宮から帰還して、ひたすら海神の教えのとおりにした。
すると兄の火闌降命は大いに悩まされて、自ら服従してきてこう言った。
「今後、私はあなたの俳優(ワザヲキ。種々の芸能をする奉公人)の民となります。許してください。」
そういうことなので、その願いどおりに赦してあげた。
火闌降命は、吾田君小橋等の本祖である。
⑥後に豊玉姫は約束どおり、妹の玉依姫を伴って、海辺に到着した。
出産に臨む前に「私が子を産む時、お願いだから中を見ないでね。」と頼んだ。
でも天孫は我慢できなくて、こっそりと中の様子を覘った。
すると豊玉姫は出産のとき、竜に化身していた。
甚だ慙じてこう言った。
「もし私を辱めることがなければ、海陸は相通って、永く隔絶することはなかっただろうに。
今あなたは私を辱めた。そんなことされたらもう互いに睦ましくは暮らせない。」
カヤで児を包んで海辺に捨てて、海の道を閉じてまっしぐらに去った。
故にこの子を、彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊(ヒコナギサタケウガヤフキアヘズの尊)と名づけた。
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